突然ですが、愛妻は「愛の不時着、おもろいわー。」と教えてくれました。
・・・「倍速視聴」してる「くせ」に?
・・・しかも「編み物」し「ながら」なのに?
え?そんなんで良さがわかるわけ?
と、思いつつも映画やドラマにハマることが少ない愛妻が言うのだから、へーそうなんだーと聞き入れていました。
すると数日後、愛妻が教えてくれました。
「愛の不時着、全部観たけど最高やったわー!」
「ええええええっ!!!」
あの視聴方法で、お前に何がわかるぅ!?(長州力口調で)
それから数ヶ月後、本屋で見つけました。
「映画を早送りして観る人たち」
いや、それな!!
即購入し、1ページ1ページめくるたびに
ぬをををををを・・・・
目から鱗というか、確かにそうだよなというか、だったらこれもそうじゃないかな、とか、そりゃーもー盛りだくさんの発見というか指摘のオンパレード。
「映画などのカルチャーこそ己の人生に影響するだろ!」と言う考えを持ってしまっているからこそ、この本は震えるほど名著です(断言)。
やったぜ!年間ベスト本に出会いました。
少なからず「ポーポー的上半期第1位確定」です!
詳しくは本書を読んでほしいので、相変わらずの薄語での感想文を書いてみたいと思います!
コスパ、タイパという呪縛
この本の最大のキーワード「コスパ」「タイパ(タイムパフォーマンス)」。
2時間の映画が1時間半で観れたらコスパがいい。
確かに、そうだわ。
実は私もそう思っていることを、この本で気がつきました。
ただし、映画ではなく、YouTube。
私は「素人」が作った「YouTube動画」ならバンバン倍速で観ます。
これに「私の時間を費やすのはもったいない」と、どこかで思っていたから倍速なんだと知りました(深く考えなかった)。
だけど結局「YouTube沼」にハマると倍速で観ているからこそ次々と延々観てしまう。
あぁ、一見コスパがいいと思いつつも、気がつけばあっという間の時間経過。
何やってんだか、と何度時間泥棒を呪ったことか。
そして、その泥棒が自分自身だということもわかってるから、なおツラい。
そのモヤモヤしていた部分が丁寧に解説されている。
んーー、文章で読むと染み込むぜ。
そして私は「プロ」が作った「映画」は絶対に通常再生で鑑賞します。
だって、全てに意味があるはずでしょ?
・・・という私の価値観ももちろん見事に客観的に文章化されていて、もう読んでいて震えますよ。
そうだ。
そうなんです。
著者は稲田豊史さん。
https://twitter.com/yutaka_kasuga?lang=ja
決して難しくない文章で、且つたくさんの引用が提示されており、いちいち震えます。
各章を読み進めるたびに、なるほどの連続です。
仕事にも影響してるような気がしてきた
で。
この本を読むながら同時にふと思ったんです。
・・・仕事にもこれ、影響してるよな
例えば突然人工呼吸装着の患者さんを急に受け持つ、とする。
看護記録はもちろん書かないといけない。
電子カルテ内にある「人工呼吸」というテンプレが作ってあれば、あとは穴埋めで書ける。
他看護師の記録をコピペしてもいい。
なんせ、タイパがいいし、ミスもない。
最低限のことはこの内容に沿って診て行けば間違いない。
さて、家に帰って勉強する。
ググったり、YouTubeで勉強する。
これは、コスパがいいし、本屋に行って本を探す手間もないしお金もかからない。
と、いうのが今のリアルな勉強方法なんだろう、と想像します。
だけど、なぜかこれを受け入れ難いおじさんな私がいることに、この本を読んで気付かされました。
看護師は「進行や治癒」などを日々観察する仕事が大きく、電子カルテは病院で働く私たちを効率的にしてくれる良き相棒です。
しかし、看護記録を読むと、そこにテンプレよろしくの文章が数多くあります。
それらが私には、なんとなく、興味がない(執着していない)看護記録に読めてしまいます。
看護記録なので、無駄な長文や個性は不要です。だけど、どーも個別性がない記録に思えてしまうんです。
受け持ち看護師は本当に病態や観察点や変化を理解して書いているのかな?
・・・常日頃、そんな違和感を持っていた私。なんだかこの本の中にそれを解読する視点があるんじゃないか?と思うようになってきました。
もちろん、思うだけで、明確に見えはしないですが。
そして、認定看護師や専門看護師、特定行為研修などの存在が私のこの思考に拍車をかけているような気もするんですよね。
「(テンプレに沿っていれば)間違い無いでしょ」
「(専門的な人達が)わかってくれたらいい内容なら」
「他の業務もあって忙しいんですよ」
「早く記録書かないと」
といったニュアンスを(他の資格を持たない)看護師達の記録に感じるんですよね。
まぁ、これはこれで正解なんですけど・・・。
なんかモヤッとします。
そうか、だから私は自信がないのか
私には変わらない価値観があります。
それは「趣味に自信がない」。
なんだそれ?という感じでしょうが、年々、歳を重ねるごとに、はっきりとその価値観が強くなりました。
とにかく、趣味をはっきりと言える人を「すごい」と思ってしまう。
休日、趣味のために時間やお金を費やす人を「すごい」と思ってしまう。
そしてなぜか、その趣味が「アクティブ」であれば「なおスゴい」と思ってしまう。
釣り、サーフィン、ゴルフ、キャンプ、登山・・・。
仕事休みの日にのびのび生きてる人は眩しいぜ!とまで思います。
私は「映画鑑賞」も「読書」も「ラジオ」も「プロレス」も好きです。
だけども、私以上に好きな人がいることを、詳しい人が存在することを、ウジャウジャいることを、このインターネットの登場で知ってしまいました。
昔は私も「俺は詳しいぜ」と鼻が高い時代もありました。
しかし、いやいやどーして。ゴロゴロいるじゃないですか。ネットの中には。
そして、その人たちはインターネット内ですごく「アクティブ」です。
誰よりも詳しいだろうと自信満々に語り、次回を約束し、更新し続けます。
もー、そんな人を知ってしまったら。
私は「好きだ」なんて言えないわ。
だって私はそういう人を反射的に「すごい」と思ってしまうから。
・・・と、この辺の私自身「なんでこんなふうに思っちゃうのかな」という謎思考回路だった部分を、見事に解説してくれた本でした。
目から何枚も鱗が落ちました。ギョギョギョ(By さかなクン)
自分のことのようで、自分ではないような錯覚
この「映画を早送りで観る人たち」は本当にたくさんの視点をくれました。
900円、コスパすげぇぞ。
その気になれば、数時間で読破できる文体です。
タイパもすげぇ。
私はあえて(新書では初めて)「読み終えちゃうの勿体無いから、今日はここまで」という読み方をしちゃいました。
稲田豊史さんの他の本も読んでみようかな。
だけどこの本はまだまだ深掘りできそうな気もするなー。
世界的にそうなのか、日本人など特化してる文化なのか。
都道府県で見たら差はないのか。
B’zの「LOVE PHANTOM」の1分以上ある前奏を早送りする、というニュースもあったくらいだし、
この界隈のお話はまだまだ大注目です。
なんせ、みなさんおススメ本ですよ!!
あと、大好きな「session」で特集されてました!これ聞いてもオモロい!
ポッドキャストもあるよ!
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